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山行報告  赤石岳・荒川三山(荒川前岳、中岳、悪沢岳)

平成13年7月29日から8月2日 4泊5日

記録:竹中 孝

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 山美会のホームページで「日本の山標高順ベスト100」を見たとき、当面の目標として、標高10傑の制覇を考えました。
そして6、7位にあたる悪沢岳、赤石岳に登頂し、これを達成するのが今回山行の第一目標です。

 当初の予定では7月25日に出発する予定でしたが、当時台風6号が迷走中で、これをやり過ごし、台風によって引っ張られた高気圧の下での山行をねらい、7月29日に出発することにしました。

7月29日
 当日朝の天気は曇り空。この日はとにかく登山口である椹島にたどり着くことが目標。
 南行徳発5時9分の始発列車に乗り、東京駅5時46分発の静岡行各駅停車に乗り継いで、9時前に静岡駅到着。
ここまで約4時間の電車の旅。

 10時前のバスで畑薙第一ダムまで約3時間半のバス旅が続く。途中トイレ休憩が2回。
バスは殆ど登山者専用バスの趣で、10キロ以上の荷物は運賃の半額の荷物料がかかるため、車掌さんはバネばかりを手にしている。車中では入山届の用紙も配られる。

 畑薙第一ダムからは一般車の進入は禁止で、この一帯に社有林を持つ東海フォレストの送迎バスを利用するか、5時間半かけて歩くしかない。送迎バスを利用する条件は、山小屋に最低1泊2食付きで泊まること。
そこで、初日は椹島ロッジに泊まることにして、送迎バスを利用する。

 バスは3時ということで、約1時間半の待ち時間がある。そこで売店でしいたけそばを頼む。
こういうところで食べるそばとしては、結構美味。売店のおばあちゃん、もうそろそろ引退したいのだが、後継者がおらず、請われて店番を続けているらしい。
 殆ど登山者のためのボランティアで、給料もなく、売上の歩合だけとの噂なので、もしどなたかここを訪れる機会がありましたら、そばなり、おでんなり頼んであげてください。ちなみに僕は、下山後もそばを食べました(500円)。
 送迎バスは、一応定刻3時となっているものの、ピストン輸送に近い状態らしく、2時半頃には、3台目のバスに乗車でき、椹島には3時半頃到着。
 ロッジは200人収容で、結構新しく、風呂は入浴剤入り。翌日からの山行に備え、汗を流しておく。

7月30日
 いよいよ今日は登山開始。とはいえ、この山域はキャンプ指定地も限られており、日程のバランスも考え、今日はただ赤石小屋まで標高差約1500mを登るだけ。
 樹林帯の中をひたすら登る。途中抜きつ抜かれつしながら、友達になった浜松のご夫婦(おじさんはウチのおやじと同い年)、京都からの若夫婦と世間話などしながら、のんびりと登る。
 午後早くには到着。今回購入の一人用テントを設営。15張程の指定地だが、他にテントはなく(結局後からもう1張増えただけ)、テーブルにちょうどいい切り株の近くに陣取る。
 この日は典型的な午後のガスをかぶった赤石岳、荒川岳を眺めつつ、先述の両夫婦と小屋のテラスで話などしつつ、午後を過ごす。
 夜、煌煌とした月明かりの中、シカの鳴き声で目を覚ます。どうやら沢の下流から上流に向かって進み、また逆戻りしたのだなということが、その声の方向からわかる。

 7月31日
 今日はとうとう赤石岳への登り。ただ、ご来光の時間には若干雲が多く、ちょっと不安。しかし、夏山ではこの後晴れ渡るということもよくあること。それを期待しつつ出発。
 途中の北沢は、槍ヶ岳直下の槍沢と似た雰囲気のお花畑の急登。
 この頃には案の定、空は抜けるような青空に。この花畑の特徴は高山植物の数が多いだけでなく、それが混在しているという雰囲気。
 高山植物は、メインの花が一面に咲き誇るというイメージだが、ここは、多くの種類が、対等に交じり合って咲き誇るというイメージ。写真など撮りつつ、カール地形をゆっくりゆっくりと登って行く。
 カールを登りきると、山頂はすぐそこに見える。ザックを置きカメラだけ持って山頂へ向かう。展望は文句なし。東には富士山、南には聖岳と特徴的な三角形の兎岳。北は荒川三山の向こうに塩見岳、間ノ岳、農鳥岳が見える。
ここでも充分に時間をとって楽しむ。
 宿泊予定の荒川小屋までは下りのみ約2時間。途中、登山道で雷鳥の親子が砂浴びをしていて行く手を遮られる。行っていいものかどうか悩みつつビデオを回していたが、おばさんが横で派手に転んでも、全く動じないことが判明。安心して横を通り過ぎる。
 荒川小屋のキャンプ指定地でも、テーブルと水場が近く、展望も良い一等地に陣取る。
 夜、シカの鳴き声がしたと思ったらすぐ、ザーッと一降り。しかし、数時間後には星空が広がる。

8月1日
 今日は悪沢岳に登って標高10傑制覇を達成する日。
 前日と違って完璧に澄み渡った空の下、ぼちぼちと登り始める。途中の展望台では前にも後ろにも人の影はなく、独り占めの気分で放心する。
 荒川前岳と中岳の鞍部に出ると、北への展望が広がる。すると昨日は見えなかった仙丈や甲斐駒ヶ岳も見える。後から得た情報ではもう少し早ければ北アの槍穂高も穂先が見えていたとのこと。ちょっと残念だったが、展望台からの景色も最高だったので、まあ良し。 荒川中岳を下り、今回の最高峰、標高第6位の悪沢岳への登りを開始する。途中のザレ場は崩れやすく、今回の山行の中では最も嫌なところ。しかし、登山者が少ない分、落石で他者に危険を及ぼす可能性が低いという意味では、比較的安心して進むことができる。
 山頂に登る頃にはガスに包まれるが、夏のアルプスではやむを得ないところ。
記念写真を撮ってもらったおじさんと、しばらく(おじさんがタバコ3本吸うくらい)話し込む。
 それでもガスは晴れず、仕方がないので下山開始。下山の途中、岩場に貼りついている正にそのとき、スコールのような夕立(まだ12時頃だから昼立?)にやられる。しかし何とか登り切ってビデオを濡れないよう守り、自分が雨具を着る準備が出来た頃にはまたやんでしまう。その後も若干降りはしたものの、小屋まであと30分の下り、雨具の内側を濡らすより、取敢えず小屋に行こう。と判断しそのまま歩く。
 ところが、小屋に着いたらまた結構な勢いで降り始め、今度はなかなかやまない。夕方まで待てばやむ可能性もあるとは思いつつ、地面はもう濡れているし、これまでに仲良くなった皆さんは全員小屋泊りでもあり、たまにはいいか、と小屋に素泊りで泊まることにする。ほぼ定員の小屋で転がりながら、皆さんと山の話や冗談で盛り上がる。単独行ならではの、その日限りの仲間との会話を楽しみつつ、午後を過ごす。

8月2日
 朝、今回の山行の中では最もご来光撮影に適している。そこで持参の三脚を持ち出してビデオを回しつつの朝食。後ろでは、山頂をガスが流れては消えていく赤石岳が大きい。 撮影終了後は、1箇所の展望台を除き、ただただ下る。
鳥の声のしている間は気温も低く、快調に下山。しかし、バックがセミの声に替わるのと対応して、下界の暑さが襲って来る。メガネに落ちる汗を拭き拭き、今回の山行の中で最も辛かったかも知れない歩きを終え、再び登山口の椹島に帰着。のぼりを見て、たまらずかき氷を食べる(300円)。
 バスまで時間があるのでシャワーを浴び、山の汗を流してさっぱりする。後は畑薙ダムの売店でおばあちゃんのしいたけそばを食べた以外は、只ひたすら乗り物に揺られ、帰路へつく。

以上
 


 

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最終更新日 : 2020/06/28
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